蒼い季節を知っている。

らぶとぅーんのどらまーを愛でる。

ハートの唇に喜びを添えて。


「ほんと悔しくて。今日2本も落としちゃった」

彼は舞台袖から現れ、そう紡いだ。





ガムシャラ!サマーステーション 7月25日2部。
チーム者のパフォーマンス中、彼はスティックを2本落とした。
最初に所持しているスティックに加え、予備で用意されているのは2本。次、落とせば、絶体絶命のピンチだった。
祈るような気持ちで見守る中、その後は誰もスティックを落とすことなくパフォーマンスを終えた。

落としたのは序盤のふとした瞬間、そしてダブルストロークでのキャッチミスだった。
それでも彼は、「えっ!?今落としたよね!?」というくらい素早いスピードでスティックを取り出し、見事なリカバリーを見せた。

パフォーマンス終了後、彼の表情はどこか険しく映った。



相手チームもパフォーマンスを終え、MCに突入して、パフォーマンスについての感想を求められると、彼は誰よりも真っ先に口を開いた。悔しい、という感情が滲み出ていた。
隣に立っていた松田くんに「でも凄い頑張ってたー、みんな。頑張ってたよね!?」、そう言われ、歓声に包まれた会場を見渡して、彼はようやく「それだけでもう僕は満足です」とハートの口を見せて笑った。



結果はチーム者の勝利だった。
ファン投票ではチーム羅の方が大きく聞こえ、本人達もその自覚があったようだが、チーム者の方が1dbだけ大きかった。
さらにJr.投票では3つ差つけて、「完全勝利」を納めた。

勝利が分かった瞬間、チーム者は歓喜の渦に巻き込まれた。カンペを投げ飛ばして喜ぶ神宮寺くん、崩れ落ちてもみくちゃになりながら喜ぶ羽生田くんと田島くんと松田くん。勝利の喜びを溢れんばかりに体現した。少年達は実に素直に喜びを噛み締めた。
萩谷くんは一瞬反応が遅れた。吃驚したのかもしれない。隣の松田くんにつつかれ、そこでようやく嬉しそうに抱き合った。



「さっき勝ったからいいじゃん」

MC中盤、何のタイミングだったか、彼はちょっと膨れたようにそう敵チームに吐き捨てた。勝ったけど、悔しい気持ちは拭えないままなのだろう。
1部では多少のリズムのズレがあるものの、ほぼノーミスだったと思う。(あくまで素人耳、素人目での感覚である。)それでもチーム者はJr.票1つで敗北となった。

多分、彼はノーミスで勝利を納めたかったんじゃないだろうか。初戦のような状態で勝利を納め、誰もが納得するような結果を残したかったのじゃじゃないだろうか。





7月28日。チーム者3戦目、4戦目である。
私は見には行けないけれど、今日こそノーミスでの勝利を見ることが出来ればいいなと思う。
「今日は上手くいったね」と笑顔で語り、勝利の瞬間、また満面の笑みを浮かべる彼を。終始笑顔な彼を見たい。

勝つときもあれば、負けるときもある。上手くいくときもあれば、失敗するときもある。
そんなことは分かっているけど、彼にはなるべく上手くいって、勝ってほしいなぁ、とそんな単純なことを思う。

だって、悲しい、悔しい表情より、彼の笑顔を1秒でも長く見たいんだもん。