蒼い季節を知っている。

らぶとぅーんのどらまーを愛でる。

宝石より輝く笑顔を宝箱に詰めて。─チーム者と過ごした青春─


「こんなはずじゃなかったのに……」

泣きそうな声で紡がれたそれは、切なく私の心に突き刺さった。





2015年8月15日。ガムシャラ!サマーステーションVS公演。チーム者vsチーム覇。チーム者にとって予選最終日。

彼らの嬉し涙ではなく、悔し涙を見ることになるとは、誰が予想してただろうか。
叩きつけられた現実はあまりに残酷だった。



私は1部は入ることなく、2部だけ入ることになっていた。1部の時間帯はまだ電車に揺られていて、チーム者が負けたという話を聞いた瞬間、既にもう泣きそうだった。

何としてでも2部勝たなきゃいけない。勿論決勝に向けて勝たなきゃいけない一試合だし、彼らにとっての予選最終戦。絶対に勝利を捧げたかった。



会場について、何人かのフォロワーさんに逢った。2部入らないという方も多くて、「db託したから!」と何人かの方に言われた。色んな人の想いを背負って、強く拳を握りしめ、恐る恐るEXへと足を踏み入れた。



一人で踏み込んだEXシアター。この夏、いつもは隣に誰かがいたのに、この日は誰もいなかった。最終日、一人で観戦するには少し寂しくて、心細くて。
遅番だからギリギリまでフォロワーさんと過ごして、それでも開演10分前には会場内にいて、一人で震える足で立っていた。何度も深呼吸を繰り返し、立ったり座ったりTwitter弄ったり、と、落ち着きなく過ごした。





あれよあれよという間に会場の照明が落ちた。運命の最終公演が始まった。

『ルート17』『ブギウギキャット』…聡マリとバックJr.が現れ、いつもと同じOP曲を歌った。その瞬間も、大変失礼ながらも私は心あらず状態で、上手の登場口を一心に見つめた。



『街角Deep Blue』…緑の衣装に身を包んだ5人が現れた。

「お前ら盛り上がらねぇと命はねぇぞ!」

リーダー神宮寺くんの台詞にボルテージは急上昇。闘争心溢れる5人が男気込めて歌った。



チーム覇も登場し、会場のボルテージは最高潮に達した。
MCで彼らも振り返ったが、チーム者もチーム覇もかなり盛り上がっていて、楽しそうで、いきいきしていた。誰かの言葉を借りるなら、"最高の滑り出し"だった。





チーム者のダンスコーナー。いつもと同じ『LOST MY WAY』。だけどいつもと違った。

殺気迫るものがあるというか。差し迫るものがあるというか。大人しいメンツ揃いのチーム者に何かが取り憑いたかのように別人で、「絶対に勝つ」という思いが前面に出ていた。

もう登場の時からチーム者全員の纏うオーラが違った。秘めた闘争心を感じた。ピンスポで一人ずつ照らし出された瞬間、鳥肌が立った。

16歳、17歳、18歳の少年たちが踊り歌うそれは、儚く切なく美しかった。



まだダンスコーナーを終えただけなのに、「勝てる。絶対いける。」そんな気持ちになった。





『スキすぎて』。聡マリJr.各チーム一人が台詞をいうシーン。2部のチーム者の担当は神宮寺くんだった。

「俺らが勝者、」

早口で告げた彼の隣には、いつの間にか4人の仲間が立っていて、5人は口を揃えて告げた。

「「「「「チーム者」」」」」



震えた。もうパフォーマンスやる前から涙腺崩壊だった。
「勝てる。絶対いける。」再びそう思った。





運命のパフォーマンスバトルの瞬間。

先攻はチーム覇だった。

チーム覇のパフォーマンスを見たのはそれが初めてだった。昨年無かった演目で、どんなパフォーマンスなのかは想像もつかなくて。

圧巻だった。ガムシャラ!での放送通り、チームワーク抜群のチーム。テンポよく会場を盛り上げ、次々技を決めていく。
最後の瑞稀くんの大技には、相手チームながらに成功を祈るように見つめ、決まった時には思わず歓声を上げてしまった。

ただ、ひたすらに「凄い」の一言に尽きた。





チーム覇のパフォーマンス終了後、その余韻に浸る間もなく、とてつもない緊張感に襲われた。黄色から緑に替えたペンライトを持つ右手は震え、必死で押さえた左手は汗が滲んでいた。この夏既に何度も見たVTRなのに、固唾を飲んで、瞬きも忘れて、見入った。

祈るようにVTRを見入ってると、ステージに影が現れた。いつもと違った登場をした彼らだった。いつもはVTRが終わってから、彼らはステージに上がった。だが、この日はVTRの途中で現れたのだ。
彼らはステージ中央に立つと、円陣を組んだ。それはまるでVTRと重なるかのようなタイミングで。

「楽しんで」

肩を組み合った5人が何を思い、何と声を掛け合ったかは分からない。ただ、マイクが一言、神宮寺くんの"楽しんで"という言葉を拾った。

あちこちから"頑張れ"と声援が飛んだ。私もスタンディングの後ろから声の限り叫んだ。



再び手を強く祈るように組めば、静かにパフォーマンスが始まった。静寂の中響く、デッキブラシの音。ついに、ついに、始まった。

ジャグセッション、萩谷くんのドラムソロからのドラムセッション、バケツキャッチ、神宮寺くんのダブルストローク、スティックスロー。全てが怖いくらいに順調に進んだ。完璧、だった。
パフォーマンスも会場の一体感も完璧だった。予選最終戦に相応しいパフォーマンスっぷりだった。鳥肌が立った。言葉通り、彼らは楽しみ、そして会場を楽しませた。最高の"Funcussion"だった。
終わった時の彼らの表情は、これでもかというくらい、キラキラしていた。





一旦捌けて、再びMCの為に戻ってきた彼らは肩を組んで現れ、皆満面の笑みだった。

「今日一番完成度高かった」
「初めて完成形を見せられた」

嬉しそうな声で語った。



そんな楽しい時間を引き裂くように、来たくない時間が来てしまった。
双方のパフォーマンスがどれほど素晴らしくても、勝敗はつけなきゃいけない。
萩谷くんは「これ、勝敗つけなきゃダメ??」って真ん中に立つ真田くんにも問いかけた。真田くんは困ったように返してた。
分かってる、分かってる。これはあくまでもバトルなんだって。発表会じゃない。戦いなんだ。
私達だって心苦しいよ、勝敗決めるなんて。



まずはJr.のボール投票だった。なるべくチーム者の箱に入れてくれますように、とただただ願うことしか出来なかった。



そして観客のdb測定。チーム者は全員マイクを置いて、肩を組み合った。
「お願いします!」って大人しいチーム者メンバー全員が地声で何度も叫んだ。

緊張の中、叫んだ。自分の喉を潰すぐらい叫んだ。5秒間叫んで、カウント終了後、ちょっとフラついたのを覚えている。ただひたすらに、叫んだ。



結果は115db。チーム覇は112dbだったから1歩リード。だけど、まだJr.票が残ってる。この夏、チーム者が、いや、何なら、去年からチーム者が苦しめられているJr.票が。

6個。6個あれば、勝てる。まだ決勝に進める確信はないけど、望みを繋げる。



萩谷くんが箱を手に持ち、一人ずつボールを引いた。まず1個。2個。3個。一瞬一瞬緊張しながら、順調に両チームともボールを取り出した。

4個。5個。
5個目を引く神宮寺くんの手に、オレンジのボールは無かった。そんな彼の手を掴んで、もう一度箱の中に突っ込ませたのは萩谷くんだ。必死に頭を振って、神宮寺くんに「そんなはずない!」とボールを掴ませようとした。箱の重みを知っている彼が、誰よりも先にその事実を悟ったはずなのに。



チーム者の、予選敗退が決まった。





元太くんが膝から崩れ落ちた瞬間、私も崩れ落ちた。誰も何も発しない。「こんなはずじゃなかったのに……」と悔しさを滲ませた声で何度も繰り返す萩谷くんの言葉だけが響いてた。
チーム者全員の顔から笑顔が消えた。あんなにも楽しそうな様子でキラキラと笑っていた数分前が嘘みたいに。

元々喋らない子たちの多いチーム者。ますます誰も喋らなかった。
最上手で神宮寺くんはただ茫然と立っていた。田島くんは一番気丈に振る舞ってたかもしれない、でも悔しさを滲ませた表情で俯いてた。



チーム覇とMC真田くんが何とか回してくれていた。羽生田くんをいじっては、少し空気が軽くなった。萩谷くんは悔しさを押し込めて一生懸命喋っていた。松田くんはポロポロ涙を流しながらも、隠してくれた萩谷くんの背中でそっと気持ちを落ち着かせていた。

「はぎちゃんめっちゃ成長したね」「一皮むけた」

安井くんのこの一言でやっと立ち直れた。チーム者は負けた。でも自担にとって、この夏は他者から見ても著しく成長した貴重な夏───。





でもやっぱり悔しいなぁ。当たり前みたいにチーム者は決勝進出出来ると思ってたもん。





チーム者メドレー。いつものように神宮寺くんが出てきて挨拶を始めた。もう彼が姿を見せただけで、胸が張り裂けそうな気持ちだった。

「負けてしまいましたね…でも僕たち、悔いは誰ひとり残ってないんです。…全力でやれたんで」

静かに噛み締めるように彼は紡いだ。"全力でやれたから悔いはない"と言い切る姿は勇ましかった。

「…これが、チーム者ラストの曲だと思いますけど、聴いてください、『青春』。」



"チーム者ラスト"。こんなにも切ない響きがあるものか。

そうして始まったイントロ。全16公演歌い続けた『青春』。最後の『青春』に彼はどんな思いを込めたのだろう。
時折詰まらせながら、でも最後まで彼は歌いきった。彼は歌う前にこう言った。

「悔しい気持ちも悲しい気持ちも全部チーム者にとって"青春"だった」

あぁ、彼が、神宮寺くんがチーム者のリーダーで良かった。今抱える悔しさも悲しさすらも全部青春だったと言い切る彼の姿に涙が止まらなくなった。表情はまだ悔しさを残してたかもしれない、でも。その姿はキラキラ輝いてた。
ありがとう、貴方が私の応援するチームのリーダーで本当に良かったよ。



『LOCK ON』。田島くんと羽生田くんと神宮寺くんと。
いつも以上に丁寧にソロを歌う田島くんと羽生田くんが印象的だった。最後、だからだろうか。
神宮寺くんの"無理矢理でも君を振り向かす"という歌詞はいつもほんとに振り向かす気だってくらい荒っぽく歌うのに、それがなかった。一人の時間を終えて、少し張り詰めた空気が切れて、悔しさが戻ってきたのだろうか。



『Sing for you』。いつも楽しそうなナンバーなのに、元太くんは涙目で。そんな彼の頭をポンポンと撫でた萩谷くん。あぁ、いいチームだな、って思った。
最初は涙声で少しいつもより元気はなかったけど、最後まで笑顔で乗り切った。



最後は『LIPS』。みんなこれでもかと暴れ散らした。悔しさをぶつけてるかのようにも見えた。全てを出し切り、「本当に今までありがとうございました!!」と叫んだチーム者。

最高のメドレーだった。



後半戦から急遽盛り込まれたさなじぃバンド。
さなじぃこと真田くんの粋な計らいで、チーム者全員が登場した。

「この曲で全部晴らしちゃってください。ここまで頑張ってきたチーム者のみんなとチーム者のファンのみんなに贈ります。『Oh Yeah!』」

ひたすら楽しい瞬間だった。ただただチーム者と過ごしたこの夏を振り返りながら、腕を振った。

それまでは普通に過ごしていた羽生田くんがちょっと泣きそうになってたり。
ドラムのところにチーム者全員集まった時は萩谷くんが泣きそうになってたり。



最高のチームだった。この日で見納めなのが辛かった。けど、1秒でも見逃すまいと、必死に光景を焼き付けた。

『Oh Yeah!』終えて、キラキラの笑顔の5人が印象的だった。





チーム者に関しては、まだまだ書きたいことが山のようにあるんだけども、もう書き出したらキリがないから、また別記事でチーム者については書きたいと思う。(需要は考えない)

8月15日、悔しさを全面にこの記事を書き始め、何度も書いては悔しさを思い出し、泣いて、を繰り返した。結局書き終えたのは、8月19日、決勝戦終わってからだ。

本当は決勝行ってたら今頃なー、なんて未練たらしく考えながら、今もこの記事を書いている。



それでも。

結果としては、予選敗退だったが、私にとってチーム者と過ごした夏はかけがえのない思い出だ。最高の夏だった。一生忘れることのない、精一杯青春した夏だった。宝物だ。

チーム者、ありがとう。そんなチーム者を指導してくださった峯崎先生を始めとするファンカッションの皆様も、共に声援をあげたチーム者担の皆様も、みんなみんなありがとう!!お疲れ様!!



『俺らが勝者 チーム者!!!!!』



誰が何と言おうと、この"夏"の勝者はチーム者である。チーム者 FOREVER!!